最近、InstagramやX(旧Twitter)で、カラフルな細長いお米の画像を見かけることはありませんか?
それは「ビリヤニ」です。
かつては一部のカレーマニアだけが知る存在でしたが、今や若者を中心に爆発的なブームを巻き起こしています。
「週末はビリヤニを食べに遠出する」「コンビニのビリヤニが売り切れで買えない」なんて声も珍しくありません。
しかし、まだ食べたことがない人からすれば「要するにカレーチャーハンでしょ?」「ドライカレーと何が違うの?」と思うかもしれません。
実は、ビリヤニは「スパイスと米の芸術」とも呼ばれる、全く別次元の料理なのです。
この記事では、なぜ今これほどまでに若者がビリヤニに熱狂するのか、その社会的な背景と理由を深掘りします。
さらに、「コンビニや自宅で手軽に食べれるビリヤニ」を紹介します。

まず、基礎知識をおさらいしましょう。 ビリヤニ(Biryani)とは、インドやパキスタン、バングラデシュなど南アジア周辺で広く食べられているスパイスとお肉の炊き込みご飯のことです。
世界的な知名度は抜群で、スペインの「パエリア」、日本の「松茸ご飯(諸説あり)」と並び、「世界三大炊き込みご飯」の一つと称されています。
結婚式や誕生日など、ハレの日には欠かせない「ごちそう」です。
多くの人が誤解しているのがここです。
「カレー風味のご飯=ビリヤニ」ではありません。最大の違いは「調理法(火の通し方)」にあります。
以下の比較表を見てください。
| 料理名 | 調理法 | お米の種類 | 食感 |
|---|---|---|---|
| チャーハン | 炊いた米を油で 「炒める」 |
日本米 (ジャポニカ) |
パラパラ もちもち |
| ピラフ | 生米をスープで 「煮る」 |
様々 | しっとり |
| ビリヤニ | カレーと米を層にして 「蒸す」 |
バスマティライス | ふわふわ・軽い |
※スマホでは表を横にスクロールできます→
本式のビリヤニは、「ダム(Dum)調理法」で作られます。
まず、スパイスたっぷりの濃厚なカレーソース(グレービー)を作り、その上に「半分だけ茹でたお米」を重ねます。
さらにフライドオニオンやハーブ、サフランミルクをかけ、鍋を小麦粉の生地などで完全に密閉します。
弱火でじっくりと「蒸し焼き」にするのです。
この「密封して蒸す」工程こそが命です。
逃げ場を失った肉の旨味とスパイスの香りが、お米一粒一粒の芯まで強制的に染み込みます。そして蓋を開けた瞬間、閉じ込められていた香りが爆発的に広がるのです。
この体験こそが、チャーハンでは絶対に味わえないビリヤニの醍醐味です。

単なるエスニック料理の流行ではありません。ここには、現代の若者の価値観やライフスタイルに刺さる明確な理由が5つあります。
ビリヤニのビジュアルは最強です。
着色料ではなく、サフランやターメリック、そして白い米が混ざり合ってできる自然なグラデーションです。
この鮮やかな色彩がInstagramやTikTokで強烈に映えます。
さらに、多くの専門店ではステンレスの銀皿(ターリー)やバナナリーフで提供されます。この「現地の食堂感」が、レトロで「エモい」ものを好む若者の感性を刺激しているのです。
現代の若者は「モノ消費」より「コト(体験)消費」を重視します。
ビリヤニには、カルダモン、シナモン、クローブ、スターアニスなど、ホール(原形)のスパイスがゴロゴロ入っています。
一口食べるごとに「あ、今カルダモンが弾けた」「ここはミントの爽やかな香りがする」と味が変化し続けます。
この情報の多さ(味の解像度)が、スマホで常に情報を処理しているデジタルネイティブ世代の脳に、心地よい刺激と没入感を与えます。
ここが非常に重要なポイントです。 「お腹いっぱい食べたいけど、太りたくない」「油っこいもので胃もたれしたくない」。
そんな健康志向のニーズに対し、ビリヤニは「バスマティライス」で応えます。
バスマティライスは、日本のお米に比べてGI値(血糖値の上昇度合い)が低いとされています。
| 項目 | いつもの白米 (短粒種) |
ビリヤニの米 (バスマティ) |
|---|---|---|
| GI値 (血糖値) |
70〜80 上がりやすい |
低 50〜60 上がりにくい |
| 食感 (成分) |
もちもち 分解が早い (アミロペクチン多) |
パラパラ 分解がゆっくり (アミロース多) |
| 判定 | 美味しいが 眠くなりやすい |
腹持ちが良く 太りにくい |
食感も空気を含んだように軽く、大盛りを食べても胃にズシリときません。
「スパイスの発汗作用 × 軽い食感」のおかげで、ラーメン二郎のような満足感がありながら、食後の罪悪感は驚くほど少ない。これがリピーターを生む最大の要因です。
ビリヤニには、ライタ(ヨーグルトサラダ)やカレーソースが付いてくるのが一般的です。
これらを少しずつ混ぜ合わせることで、自分好みの味を作ることができます。
「正解がない」という自由度の高さが、個性を大切にするZ世代の気質にマッチしています。
「今日はライタ多めでさっぱり」「辛いソースで刺激的に」と、その日の気分でチューニングできるのです。
SNS上では「#ビリヤニ」のコミュニティが非常に活発です。
「今日は〇〇店の金曜限定マトンビリヤニ」「あそこのライタが絶品」など、情報の交換が盛んに行われています。
希少性の高い限定メニューを求めて店に並ぶ姿は、まるでアイドルの「推し活」やスニーカー収集のような熱量を持っています。
ビリヤニを食べることは、一種のステータスやコミュニケーションツールにもなっているのです。

ブームに伴い、多くのお店でビリヤニが提供されるようになりました。
しかし残念ながら、中には「日本米をカレー粉で炒めただけ」のものをビリヤニとして出しているお店も存在します。
感動するような本物に出会うための、簡単な見極め方を伝授します。
まずメニューや写真を見てください。お米が日本米のように短く、粘り気があるものは、本場の味とは異なります。
細長くてパラパラしている「バスマティライス」を使っている店を選びましょう。
このお米特有のナッツのような香ばしい香り(バスマティ=香りの女王という意味)こそが、ビリヤニの骨格です。
ここがプロの見極めポイントです。
全体が均一に黄色いご飯は、フライパンで炒めたか、炊飯器で混ぜて炊いた可能性があります。
本式の「層にして蒸す」作り方であれば、「白い部分」「黄色い部分」「オレンジの部分」がまだらになっている(色ムラがある)はずです。
このムラがあるからこそ、一口ごとに味が変わるグラデーションが生まれるのです。
本気のビリヤニは、作るのに非常に手間と時間がかかります。
そのため、常にメニューにあるとは限りません。
「金曜ランチ限定」「土日のみ提供」といった制限をしているお店は、それだけ手間暇をかけて、大量生産できない作り方をしている証拠です。
こういったお店は「当たり」の確率が非常に高いです。

「食べてみたいけど、ガチなインド料理屋さんに入るのは勇気がいる…」 SNSを見ていると、そんな「ビリヤニ初心者」の戸惑いをよく目にします。
ここでは、InstagramやXで特によく検索されている「疑問」や「不安」に先回りして答えます。
A. むしろ「混ぜる」のが正解です!
綺麗な層になっているご飯を崩すのは勇気がいりますが、遠慮は無用です。
現地のスタイル(特に南インド)では、白いご飯、色付きのご飯、カレーソース、そしてライタ(ヨーグルト)を、お皿の上でしっかり混ぜ合わせて食べるのが「通」とされています。
【魔法の言葉:ライタ(Raita)】
付け合わせについてくる「白い液体」の正体は、刻んだ野菜が入った甘くないヨーグルトソースです。
これをかけると、スパイスの辛味が中和され、コクと酸味が加わります。「味変」アイテムとして必須なので、怖がらずにバシャッとかけてみてください。
A. 全く問題ありません!スプーンでOKです。
確かに「手で食べた方が美味しく感じる」というマニアも多いですが、日本の専門店ではスプーンとフォークが必ず用意されています。
無理をして手で食べようとして、服を汚してしまってはせっかくのランチが台無しです。
まずはスプーンで美味しくいただきましょう。慣れてきたら、手食にチャレンジしてみるのも「没入感」を高める一つの遊びです。
A. 今、ビリヤニ女子が急増中です!
かつてのインド料理屋は「薄暗くて入りにくい」イメージがあったかもしれません。
しかし、最近のビリヤニブームを牽引している人気店(エリックサウスやダイヤモンドビリヤニなど)は、「明るいカフェのような内装」や「カウンター席完備」のお店がほとんどです。
実際、ランチタイムの人気店を覗くと、お客さんの半数が女性のお一人様ということも珍しくありません。「一人でスパイスを浴びる」時間は、最高のストレス解消になりますよ。
🔰 知っておくと「通」ぶれる!ビリヤニ用語集
- 🥣 ライタ (Raita)
- ヨーグルトに野菜(きゅうりや玉ねぎ)とスパイスを混ぜたサラダ。ソースとしてご飯にかけるのが鉄則。
- 🥘 グレービー (Gravy)
- ビリヤニの味のベースとなる、濃厚なカレーソース部分のこと。「具」の部分。
- 🍚 バスマティライス
- 「香りの女王」と呼ばれるインドの高級長粒米。パラパラしていて胃もたれしにくい。
- 🌿 ホールスパイス
- 粉末にする前の、原形のスパイス(カルダモンやクローブなど)。食べる派と残す派がいるが、基本は避けて食べるのが無難。
「近くに専門店がない…」という人も企業の努力により、自宅ビリヤニのクオリティも劇的に上がっています。
「もっと本格的に、でも絶対に失敗したくない!」 そんな欲張りなあなたに推したいのが、スパイス料理研究家・印度カリー子さん監修の「炊飯器でかんたん チキンビリヤニ」キットです。
これが革命的なのは、「バスマティライス」と「専用スパイス」がセットになっている点。 通常、ビリヤニを家で作ろうとすると、お米を通販で買い、スパイスを何種類も揃え…とハードルが高いのですが、これなら鶏肉を用意して炊飯器に入れるだけ。
セブンイレブンが定期的に開催する「カレーフェス」で登場する、エリックサウス監修のビリヤニです。
これが発売されるたびにSNSでは「コンビニのレベルを超えた」と祭りになります。
なぜ若者はビリヤニにハマるのか。 それは、単に「美味しいご飯」だからという枠を超え、「非日常へのトリップ感」「写真映え」「健康意識」「カスタマイズの楽しさ」という、現代の若者が求める要素を全て満たしたスーパーフードだからです。
まだ「ただのカレー味のご飯」だと思っているなら、ぜひ今週末、紹介したお店や近くの専門店を検索してみてください。
一口食べた瞬間、複雑なスパイスの香りに包まれ、きっとあなたもその深い“沼”から抜け出せなくなるはずです。
さあ、スプーンを持って、香りの旅へ出かけましょう!


